わだつみに 沈みし経の 文字文字が ほとけとなりて 光泡立つ
照滴048
本文
わだつみに 沈みし経の 文字文字が ほとけとなりて 光泡立つ
形式
#短歌
カテゴリ
#3.信仰・信心
ラベル
#仏 #信仰 #光 #海
キーワード
#わだつみ #経典 #文字 #ほとけ #光
要点
海に沈んだ経典の文字が仏となり、光を放つ様子を描写。
現代語訳
海に沈んだ遣唐使船に積まれていた経典の文字一つ一つが仏となり、光を泡のように立たせる。
わだつみに沈みし経の文字文字が ほとけとなりて光泡立つ_浅深の解釈
注釈
わだつみ:海。煩悩の海や、真理の深淵のメタファー。
沈みし経の文字文字:真理の教え(経典)が、深いところに沈んで、見えなくなっている状態。
光泡立つ:悟りや功徳の象徴。光の泡として再び現れる。
解説
信仰と仏法の力で、経典や文字が単なる記号から生きた仏となり、光を放つことを表現。海の深さと仏性を結ぶ象徴的描写。
深掘り_嵯峨
真理の再生と顕現を、視覚的なイメージで描いた歌です。「わだつみ」に沈んだ経典は、真理が人々の目から隠されている状態を意味します。しかし、その文字という教えの形式が実体を持ち、「ほとけとなり」、水面で**「光泡立つ」という形で再び現れ**ます。
これは、教えが文字の形を離れて生きた真理(仏)となり、人々の前に顕現する瞬間を象徴しており、真言密教の「文字即仏(種字、法曼荼羅)」の思想を背景に持つ、神秘的な情景です。